「業績不良」で解雇、IBMに無効命じる判決 東京地裁

まとめると

 日本IBMが2015年4月に従業員を業績不良で解雇した。

 業務上の問題の改善が見られたのに解雇したことを重視して、解雇は乱用なので無効と判決した。

 同種の5件のうち4件が労働者の勝訴、1件は和解が成立。

ロックアウト解雇事件

全日本金属情報機器労働組合(JIMU)IBM支部にまとめのページがあります。

日本IBMによる「ロックアウト解雇とたたかう仲間を支える会」のHPもあります。

しかし、これらよりも、Neverまとめ【勤続25年を30分で解雇】日本IBMの欧米式リストラが怖すぎる件が、比較的事態をイメージできます。 

同種事件の判決

 下記の記事を見ても訴訟の要点はわかりにくいのですが、同種の裁判のうち判決が公刊されているもの(東京地裁H28.3.28(労働判例1142号40頁 )、東京地裁同日(労働経済判例速報2287号3頁 ))があります。、

前者の判決は結構長いのですが、まとめるとこんな感じでしょうか。

 

① 日本IBMが労働者らを業績不良を理由として解雇した。

② 労働者らは、その態様の違法性及び前記従業員らが加入する労働組合の弱体化を企図した不当労働行為だと主張したが、裁判所は解雇は従業員らの加入する組合への差別的意図に基づく不当労働行為であるとは認めなかった。

③ 労働者らは、解雇の態様が違法であると主張したが、裁判所は認めなかった。

④ 会社が主張する解雇事由に対応する事実が相当程度認められるものの、いずれの解雇も、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えたうえでの更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなくなされたものであり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、解雇権の濫用に当たり無効とした。

業績不良の内容

前者の判決で挙げられた業績不良は、次のようなものです。

(判決には、それぞれについて、各年ごとに詳細な内容が示されています。)

 

原告X1には、〈1〉業務の能率、生産性が著しく悪く、ミスも多いという問題、〈2〉無断で離席を繰り返すという問題があり、その業績は極めて低かった。


原告X2には、〈1〉現に担当している業務以外に新たな業務を行わず(被告が指示する新たな業務を拒否し)、その結果、著しく少ない量の業務しか行わない、〈2〉職場において円滑なコミュニケーションを行うことができない、〈3〉業務上の報告を記載する月次報告書に業務と全く関係がない事項を記載する、セキュリティ上入室が禁じられた部屋へ入室するなどといった問題行動があり、その業績は極めて低かった。


原告X3には、〈1〉頻繁に業務の期限を徒過する、〈2〉上司に適時に適切な報告を行わないなどチームとして業務を行うこと(チーム・オペレーション)ができない、〈3〉自分の興味のあることには業務上不必要であっても取り組む一方、自分が興味のない業務には必要であっても取り組もうとしない(その結果、業務上必要な作業が行われない)、〈4〉自己の非を認めない、〈5〉始業時刻に出勤しなかったり、必要な手続を経ることなく休暇をとったりするなどの問題があり、その業績は極めて低かった。

実際のところは

日本IBM「クビにしたい会社vs残りたい社員」裁判~法廷の大バトルを完全再現(現代ビジネス)によると、

日本IBMには、「PBC(パーソナル・ビジネス・コミットメンツ)」と呼ばれる独特の人事評価システムがある。社員と上司が話し合って年初に目標を設定し、その達成度に応じて、上から順に1~4の評定が付けられる。これは相対評価で、3(貢献度が低く、業績の向上が必要)や4(極めて不十分な貢献)の評価を受けるのは、全社員の下位1割前後だ。原告にも、過去数年にわたって3~4の評価を受けた社員が多かった。
「2年連続で3以下の評価だった場合、『解雇候補者』と見なされ、さらに『業務改善のために指導したが、改善の見込みがないと判断した場合、解雇する』というのが会社側の主張です。今回の社員もその対象になったのだ」とのことです。

 

業績不良の内容を見ると、ちょっとひどいなという社員もいますが、相対評価で下位のものは解雇するというやり方はあまりにも乱暴で、裁判所が連続して解雇無効の判決をだしているのも頷けます。

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  元記事

「業績不良」で解雇、IBMに無効命じる判決 東京地裁
2017年9月14日19時21分 朝日新聞デジタル

 日本IBM(東京都)が仕事の成果が出ていないのを理由に解雇したのは違法だとして、元社員の田中純さん(47)=大阪市=が解雇無効や賃金の支払いを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。吉田徹裁判長(江原健志裁判長代読)は「解雇権の乱用に当たる」と述べ、解雇を無効と判断し、解雇後の給与の支払いを同社に命じた。
 原告弁護団によると、同社の解雇を巡る5件の訴訟のうち地裁では4件目の勝訴。1件は和解が成立している。
 判決によると、田中さんは1996年に日本IBMの子会社に入社し、01年に日本IBMに転籍。コンピューターソフトウェアの技術サポートを担当したが、15年4月に、「業績不良」を理由に解雇された。
 判決は、田中さんが会社から指摘された業務上の問題について、一定の改善が見られたことなどを重視。「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえない」とした。
 判決後、都内で記者会見した田中さんは「ほっとした。こんな解雇は認められないと裁判所が断じてくれてよかった」と話した。一方、日本IBMは「個別の事案についてはコメントを控えます」との談話を出した。(後藤遼太)


















2017年09月14日|ブログのカテゴリー:労働基準法, 労働法