レオパレス21に集団訴訟相次ぐ 銀行と不動産業者が結託、裏で手数料も

まとめると

 レオパレス21のサブリース契約をめぐって集団訴訟が相次いでいる。

 オーナーが借金をしてアパートを建設、レオパレス21がアパートを一括して借り上げ入居者を募集

 オーナーには30年間は賃料を減少しないと口頭で説明しているが、契約書には賃業を減額できると記載

 空室が埋まらないとレオパレスはオーナーへの賃料減額を強行しトラブルに。

借地借家法32条

(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

 

 サブリース問題は単純化すると、契約を締結したときのは賃料維持の約束をしていながら、何年か後に「不相当になった」といって賃料を減額を求めることが許されるのか?という問題です。

新借地方式

 バブルのころ、生命保険会社は「新借地方式」というものを作り上げました。


 生命保険会社は土地を購入して貸しビルを建築・経営していましたが、バブルで地価が高騰したため土地をこうニュすることが困難となり、また「一旦土地を貸すと返してもらえない」ので賃借もできなかったことから、

 ①必ず土地を返すことと、

 ②賃料は必ず増額すること

を約束して、土地を貸してもらおうというものでした。

 

 これは以前から各社がそれぞれ行っていたものを、昭和62年4月に生命保険業界共通の借地活用方式としたものでした。

 

  このときも、生命保険会社は、約束を反故にして地主に賃料減額を求め、トラブルになったようです。

  

 なお、「必ず土地を返す」という部分については、平成4年8月に借地借家法が改正され「定期借家権」(借地借家法38)が創設されています。

サブリース訴訟

 私は、「新借地方式」がサブリースのご先祖様だと思っていたのですが、升永英俊「サブリース訴訟」によるとサブリースは昭和50年代~平成5,6年ころまで不動産会社などのサブリース事業者(ディベロッパー)が行っていたとのことでした。

 

サブリースについては、平成10~15年ころに多くの裁判があり、最高裁H15.10.21(民集57-9-1213)で、

① 借地借家法32条1項は強行規定であるので、サブリースにも適用される。

② サブリース契約における減額請求の当否、及び相当賃料額の算定に当たっては賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきである。

とされました。

レオパレス21訴訟

平成15年の最高裁判決は、サブリース契約が、

① 銀行から借金をすること(銀行との消費貸借契約)

② 借金で不動産会社の仕様による建物を建てること(建築会社との請負契約)

③ 建物を不動産会社が一括借り上げをすること(不動産会社との賃貸借契約)

が一体として行われているのに、これを(総合的に考慮するとは言っていますが)基本的には分解してしまっている点に納得ができません。

 

当初から不動産会社が①②③のすべてを試算して、オーナーの資金繰りに問題が生じないと説明して、全ての契約を締結するよう働きかけています。つまり、不動産会社は③についてだけ関与しているのではなく①②についても銀行や建築会社以上に積極的に敵悦するよう働きかけています

 

そして、資金の流れは、次のようになっています。

入居者 -(④家賃)→ 不動産会社 -(③賃料)→オーナー-(①弁済)→銀行 -(②請負代金)→建築会社。

このうちは固定されているのに、は減額される危険があることになります。

不動産会社家賃が減額されても賃料を減額することでリスクを小さくすることができます。

しかし、オーナーは賃料が減額されても弁済は減額してもらえず、リスクをもろにかぶることになります。

 

つまり、青写真を描いている不動産会社は、リスクをすべてかぶるおそれのあるオーナーに、正確にリスクがあることを説明する必要があります。正確に説明をすれば契約するオーナーはいないはずなのに、多くの地主が契約をしているということは、説明が正確になされていないことが疑われます。

 

平成10~15年の裁判はいくつかの不動産会社が被告となっていましたが、今回はレオパレス21だけが被告になっているという点が特徴です。

同じ会社の多数の案件がひとつの裁判で審理されることによって、正確な説明がなされていなことが立証しやすくなるのではないかと思われます。

サブリースそのものをなんとかしてください

上述のとおり、サブリースは50年も前から行われており、10年前には最高裁判決が出ているのに、未だにトラブルが絶えません。

このことから、サブリースには、不正確な説明を招く(オーナーの側からは騙しを招く)構造的な欠陥があると思うのです。

 

そこで、サブリースについては、入居者からの④家賃が減少するかもしれないというリスクを関与者すべてで分担するというルールを予め決めることはできないでしょうか。

 

例えば、

④家賃が20%以上さがれば、③賃料を10%まで下げることができる。

そのとき③銀行は10%返済月額を減額することに応じる。

建築会社も④家賃が30%以上さがれば、④家賃相当額のの2%を総額●●●●万円まで不動産会社に家賃補助をする(その分、③賃料や②弁済額の減少を抑えられる)

というような、


 また、不動産会社は④家賃がどのくらい減少すると損益分岐点を下回るかについて説明することを義務づけることも良いのではないでしょうか。

 

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 元記事

レオパレス21に集団訴訟相次ぐ 銀行と不動産業者が結託、裏で手数料も
AERA dot.2017.10.3 07:00 週刊朝日2017年9月29日号より抜粋 佐藤拓也


 レオパレス21のサブリース契約をめぐって昨年11月以降、数十人~129人規模の集団訴訟が相次いで起こされている。「損しないビジネス」「相続税対策」といった甘い言葉に乗ったものの、家賃の減額を半ば強制されるなど、トラブルになっているのだ。その裏には業者だけでなく銀行との結託も見えてきた。

2017年10月03日