20年前の禁じ手再び ゴーン弁護団、過剰な保釈条件

まとめると

 カルロス・ゴーン被告の保釈が、住まいに監視カメラを付け、ネットもメールも使えなくする条件で認められた。

 

 これは、高野隆弁護士が20年前に使った「禁じ手」とのこと。

 

 一方で、東京地検の久木元伸次席検事は保釈条件について「実効性がない」との見解を示した。

 

必要的保釈

刑事訴訟法 第八九条[必要的保釈と例外事由]

 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。


金融商品取引法違反(虚偽記載)

第二四条(有価証券報告書の提出)

有価証券の発行者である会社は、…事業年度ごとに、…有価証券報告書…を、…内閣総理大臣に提出しなければならない。

 

第一七二条の四(虚偽記載のある有価証券報告書等を提出した発行者等に対する課徴金納付命令)

 発行者が、重要な事項につき虚偽の記載があ…る有価証券報告書等…を提出したときは、内閣総理大臣は、…当該発行者に対し、…課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。

 

第一九七条(罰則)

 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 …第二十四条第一項…の規定による有価証券報告書…であつて、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者

 

会社法 第九六〇条(取締役等の特別背任罪)

 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役


裁量保釈

刑事訴訟法 第九〇条[裁量保釈と考慮事由]

裁判所は、

① 保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、

② 身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度

③その他の事情

を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

保釈条件

第九三条[保釈保証金、保釈の条件]

保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。

③保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。

適当と認める条件

本条三項にいう「適当と認める条件」とは、被告人の逃亡罪証隠滅等を防止するとともに保釈後の被告人の公判出廷または有罪判決確定後の刑の執確保するための条件を指称し、再犯防止のための条件は包含されていないものと解すべきである。(福岡高決昭30・10・21高裁特二━二〇━一〇六一)(高松高決昭39・10・28下刑集六━九・一〇━九九九)

 カルロス・ゴーン被告の保釈条件

1 住居は東京都内に制限。
2 住居の出入り口には監視カメラを設置。
3 海外渡航を禁止。パスポートは弁護人が管理。
4 2泊以上の旅行は裁判所の許可が必要。
5 携帯電話は通話機能のみ使用可。インターネット、メールの使用は不可。
6 監視カメラの映像や携帯電話の通話先記録を東京地裁に提出。
7 インターネット接続のできないパソコンに限り、弁護士事務所内のみで使用可。
8 事件関係者との接触禁止。
9 日産幹部らとの接触禁止。
10 日産取締役会への出席には、裁判所の許可が必要。

 

弁護団は「平日の午前9時~午後5時は弁護士事務所で過ごす」とも提案したが、これは条件に含まれなかった

過剰な保釈条件

20年前の禁じ手

 96年に夫が妻に暴行した事件

 高野隆弁護士らは、▽夫は高野氏が契約したアパートに住む▽平日の午前9時~午後6時は高野氏の事務所で職員として働く▽夜間と土日は弁護人の監督下で生活し、市外に出る時は弁護人が付き添う――と提案。夫は4カ月ぶりに保釈された。

 その後、アパートには18人の弁護士が交代で寝泊まりするなど、保釈にあたって総勢135人の弁護士が協力したという(「夫婦喧嘩に弁護士135名」(萩原氏(萩原猛弁護士?) 季刊・刑事弁護)。

 

7年前の禁じ手

 私も、老齢の男性の強制わいせつ事件で、外出時には必ず妻が付き添い、妻が仕事のため自宅を離れるときは夫が勝手に外出できないように自宅に内側から開けることのできないカギを設置すると提案して、保釈を認めてもらった(正確には息子の自宅を制限住居とする保釈決定後、実際に保釈される前に、夫婦の自宅に制限住居の変更を認めてもらった)ことがありました。

 弁護士が「座敷牢」を作るという提案をするのはおかしいのではないかと悩みましたが、男性は認知症を発症している可能性が高いのに病院に行ったことがなく、裁判開始までに医師の診察をうけさせたかったので、提案をしました。

 保釈面談の際、裁判官から「こんなことをするのは人権侵害にあたりませんか?」と言われるのではないかと予想していましたが、何にも言われることはなく、保釈の決定(制限住居変更の決定)がでました。

 

 その後、男性の認知症は急激に進み、入院することになり、公判手続きは停止されました(刑事訴訟法314条)。停止中に面会に行きましたが、私が誰なのかわからなくなっていました。

 

 その数年後、男性は亡くなりました。控訴棄却の決定がなされました(刑事訴訟法339条)。

 

東京高検 次席検事の批判

 東京高検の久木元次席検事は、「いまだ証拠隠滅の恐れがある上、保釈条件には証拠隠滅を防ぐ実効性がないと考えた」ため準抗告をしたこと説明。

 

 保釈条件をめぐっては、携帯電話で海外通話が可能なことや、1泊の短期旅行は可能監視カメラから逃れることができる点などが「抜け道だらけ」(検察関係者)とも指摘されていた。

 

 

元記事

情報BOX:ゴーン被告の保釈条件、ネットやメールの使用不可など
Reuters Staff 2019年3月8日 / 13:36 ロイター

 

20年前の禁じ手再び ゴーン弁護団、過剰な保釈条件 2019年3月7日19時29分 朝日新聞デジタル

 

ゴーン変装劇を謝罪 “刑事弁護界の宮崎駿”高野隆氏の剛腕 公開日:2019/03/09 17:00 更新日:2019/03/09 17:00 日刊ゲンダイデジタル

 

ゴーン被告保釈条件 地検次席が地裁決定に異例の批判「実効性ない」2019.3.8 17:35 産経新聞

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2019年03月10日|ブログのカテゴリー:刑事訴訟法, 勾留・保釈