拘禁刑、懲役と禁錮一元化…改正刑法成立 侮辱罪 刑厳しく

新名称は「拘禁刑」軸に検討「懲役刑」と「禁錮刑」の一本化で

「懲役刑」と「禁錮刑」を一本化した際の新しい刑の名称について、法務省は「拘禁刑」とすることを軸に検討を進めていて、結論がまとまれば来年の通常国会に必要な法案を提出したいとしています。
身柄の拘束を伴う刑のうち、刑務作業が義務づけられている「懲役刑」は、作業に多くの時間を費やすことから再犯防止に向けた指導を受ける機会が乏しいと指摘されています。 このため法制審議会は刑務作業が義務づけられていない「禁錮刑」と一本化し、受刑者の特性に応じて刑務作業のほか、再犯防止に向けた指導や教育プログラムも受けやすくするよう求めています。 これを受けて法務省は2つの刑を一本化する方針で、その際の新しい刑の名称について刑法の専門家などの有識者から聞き取りを行ったところ「刑罰としてのしゅん厳さが必要だ」という指摘や「簡潔明瞭なものが適切だ」などといった意見が出されました。 そして法務省は16の名称の案のうち有識者から最も支持の多かった「拘禁刑」とすることを軸に検討を進めていて、結論がまとまれば来年の通常国会に刑法の改正案を提出したいとしています。

懲役・禁錮を「拘禁刑」に 刑法改正、閣議決定

政府は8日、刑罰の懲役と禁錮を廃止して一本化し「拘禁刑」を創設する刑法などの改正案を閣議決定した。刑務作業が義務の懲役と、義務ではない禁錮の区別をなくす。再犯防止を進めるため、受刑者の特性に応じた柔軟な処遇ができるようにし、更生や円滑な社会復帰を目指す。刑の種類を変更するのは明治の制定以来初めて。

インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策で「侮辱罪」を厳罰化する案も閣議決定、政府は両案の今国会成立を目指す。拘禁刑の施行は公布から3年以内の見通し。

現行刑法は刑罰に死刑、懲役、禁錮、罰金などを規定。懲役は木工や洋裁などの刑務作業を義務とする。犯罪白書によると、2020年の入所受刑者のうち懲役は99.7%(1万6562人)で禁錮は0.3%(53人)にとどまる。21年3月末時点の禁錮受刑者で見れば、約8割が希望して作業をしており、懲役と禁錮を区別する合理性はないとの見方が出ていた。

改正案では懲役と禁錮を廃止し拘禁刑を新設することで、改善更生のために必要な作業や指導ができると規定。懲役の場合、現在も薬物依存者や性犯罪者の一部に改善プログラムなどの指導はしているが、一本化により作業義務に縛られず柔軟な処遇が可能となる。高齢受刑者への福祉支援や若年受刑者の学力向上につながる指導などにも力を入れることができる。

16年12月に再犯防止推進法が議員立法で成立し、翌17年2月に法相が一本化に関し法制審議会に諮問。20年10月に改正要綱の答申を受けていた。

今回の改正案ではこの他、刑務所などを出ても身寄りがなく保護が必要な人に寝食を提供する「更生緊急保護」の関連法規定を見直し、保護の期間を最長1年から2年に延長。長期の「寄り添い」でスムーズな社会復帰につなげる。

保護観察付き執行猶予の期間中の再犯に、再度の猶予を言い渡せない規定も改正し、保護観察の積極活用につなげる。〔共同〕

 

刑法など改正案 衆院法務委で可決 侮辱罪に懲役刑導入など

人を侮辱した行為に適用される侮辱罪に懲役刑を導入し、法定刑の上限を引き上げるほか、「懲役」と「禁錮」を一本化した「拘禁刑」を創設するとした、刑法などの改正案は、衆議院法務委員会で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。

刑法などの改正案では、SNS上のひぼう中傷対策を強化するため、公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪に懲役刑を導入し、法定刑の上限を引き上げるとしています。

また、身柄の拘束を伴う刑のうち、刑務作業が義務づけられている「懲役」と、義務づけられていない「禁錮」を一本化した「拘禁刑」の創設などが盛り込まれています。

改正案は、18日の衆議院法務委員会で、施行から3年後に表現の自由を不当に制約していないかなどを検証し、必要な措置を講じることなどを付則に盛り込む修正が行われたうえで、採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。

一方、立憲民主党が提出した、SNS上のひぼう中傷対策をめぐり、相手の人格を攻撃する行為を処罰の対象とする新たな罪を創設するための法案は、否決されました。

 

拘禁刑、懲役と禁錮一元化…改正刑法成立 侮辱罪 刑厳しく

 懲役と禁錮の両刑を一元化し、「拘禁刑」を創設する改正刑法が13日、参院本会議で可決、成立した。受刑者の年齢や特性に合わせて、刑務作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を行えるようにし、更生や再犯防止につなげる狙いがある。改正法には、インターネット上の 誹謗ひぼう 中傷対策として、侮辱罪を厳罰化する規定も盛り込まれた。


 拘禁刑は、受刑者を刑事施設に拘置した上で「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができる」と規定。刑務作業を一律に義務づけている懲役刑と、義務化していない禁錮刑はいずれも廃止する。明治40年(1907年)の刑法制定以来、刑の種類の変更は初めてで、施行は2025年の見込み。

 導入の背景には再犯状況の悪化と受刑者の高齢化がある。導入後は薬物依存や性犯罪などの矯正プログラムに時間を割いたり、出所後を見据え、高齢者に体力などを向上させるリハビリを重点的に施したりできる。適用対象は施行後の犯罪で、施行前に懲役・禁錮の判決が確定した受刑者などには両刑が執行される。

 一方、侮辱罪の厳罰化では、「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」となっている法定刑に「1年以下の懲役・禁錮、または30万円以下の罰金」を追加する。公訴時効は1年から3年に延びる。公布から20日で施行される。

 

元記事

2021年10月10日 5時16分 NHKnewsweb

2022年3月8日 11:54 日本経済新聞

2022年5月18日 12時35分 NHKnewsweb

2022/06/14 05:00 読売新聞オンライン

 

   

 

 

 

 

2022年06月16日|公認心理師:40 犯罪・司法分野, 41 刑事司法制度・更生保護制度