依頼者は借主に数年にわたり毎月貸付けをしていたのですが、借用書も作成されておらず、借主も死亡してしまったので、借主の遺族から「借りたのではなく援助してもらっただけだ。」と争われた事案でした。
物証としては借主が生前にエクセルで借入額を計算した表があったのですが、署名や押印はもちろん借主による書き込みすらなく、これを「借主が作ったもの。」だと立証できるかどうかがポイントでした。
この訴訟は、依頼者のご家族が積極的に訴訟に取り組まれたのが印象的でした。エクセルの表の作成者を立証するため自ら関係者の方を探し出され精力的に訪問してヒアリングをされたのには、本当に頭が下がる思いでした。
なかなか思うような証拠が見つからなかったのですが、最終口頭弁論の数分前にエクセルの表が”単なる日付と金額の羅列”ではなく、”借主でなければ分からないデータ”が多数含まれていることに気づき、少し時間をいただいて口頭で主張をさせていただき、判決においてもこの点を理由として挙げられていました。
しかし、裁判官の心証を決めたのは、依頼者の誠実さだったように思われます。