ちかん冤罪(1)

ここ何年か力を入れていた事件の判決がありました。、

 

 訴え

1 依頼者は、男性。相手方は、女性です。

2 相手方が依頼者に訴訟を提起してきました。
  内容は、歩行中に自転車でぶつけられ、腰に後遺症(ヘルニア)が残ったとして、440万円の賠償を求めるものです。

 依頼者の供述

3 依頼者から相談があり、話を聞くと、次のようなことを述べられました。

 (1)場所は上り坂、相手方は自転車を押しながら歩いていました。依頼者は自転車にのって相手方の右側から追い越そうとしたら、相手方がふらついてきたので、カバンとカバンが触れましたが、相手方が転倒したり、カバンが地面に落ちたりというようなことはありませんでした。

 (2)依頼者が「気をつけろ!」と言って通り過ぎようとしたら、相手方が「この人痴漢です。」と言って追いかけてきました。

 (3)相手方の通報で警察官が現場に来ました。
    相手方は、最初、①「自転車の左側に立って自転車を押していたところ、依頼者がその左から追い越していったときにおしりを触られました。」と言っていました。
    しかし、その後、②「相手方は「自転車の右側に立っていたところ、自転車の右側から追い越して行った依頼者がおしりを触っていった。」
と、相手方の言い分が大きく変わりました。
    また、依頼者も「右手で携帯を持って通話し、左手でハンドルを持っていたのだから、お尻を触ることはできません。」と言ったところ、相手方も「この人携帯をかけてた。」と言ったので、警察官は「痴漢ではなく、交通事故だ。」と言って、交通課の刑事が現場に呼びました。

 (4)交通課の刑事が現場に来てからも、相手方は、
    ③「自転車に右側に立っていたところ、依頼者に追突されました。」
    ④「自転車の左側に立っていたところ、依頼者が相手方の自転車に追突し、相手方の自転車のサドルが腰に当たった。」
   と、相手方の言い分は二転三転しました。
    依頼者は「カバンが触れただけだ。」と言っていたのですが、知人に電話で相談したところ「相手方のけがが大したことないのであれば、認めたほうがいい。」というアドバスを受けて、相手方の自転車に追突したことを認めました。

 (5)その後、警察署での取り調べで、依頼者は損害の発生を否認をしたのですが、警察官が「診断書では1週間の打撲となっているので、大したケガではない。」「嫌なら痴漢で調べ直すぞ。」「認めても起訴されることはない。」といわれ、やむなく認めたとのことでした(危険運転致傷罪 不起訴)。

 (6)相手方の夫から、とりあえず治療費として5万円を支払ってほしいと言われたので、病院の領収書のコピーがほしいと言ったら、相手方に拒否されました。


  裁判がどのような展開になったのかは、次回に続きます。

 

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2016年09月23日