通勤手当など正社員と待遇差「不合理」 最高裁が初判断

まとめると 

 契約社員が、同じ仕事をしている正社員と待遇に差があるのは、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたると訴えた訴訟の判決が1日、最高裁第二小法廷であった。

 

 山本庸幸裁判長は、正社員に支給されている無事故手当や通勤手当などを契約社員に支給しないのは不合理だと判断し、会社側が支払うよう命じた二審判決を支持した。

 

労働契約法

 第二〇条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

 

 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、

 期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件

 相違する場合においては、

 

 当該労働条件の相違は、

 ①労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、

 ②当該職務の内容及び配置の変更の範囲

 ③その他の事情を考慮して、

 不合理と認められるものであってはならない

 

事案

 労働条件の差異 

運輸会社で、非正規労働者と正社員とで、下記の労働条件に差異があった。

 ① 無事故手当,

 ② 作業手当,

 ③ 給食手当,

 ④ 住宅手当,

 ⑤ 皆勤手当,

 ⑥ 通勤手当,

 ⑦ 家族手当,

 ⑧ 賞与,

 ⑨ 定期昇給

 ⑩ 退職金

 請求1(本件確認請求)

請求

 上記の①~⑩(本件賃金等)について、非正規のトラック運転手が、正社員と同一の権利を有する地位の確認を求めた。

判決

労働契約法20条は、正社員と非正規社員との労働条件の相違が不合理であれば無効とするもの。

 

しかし、非正規労働者の労働条件が正社員と同一とするところまでは求めていない。

 → 棄却

 請求2A(本件差額賃金請求)

請求

上記の①~⑥(本件諸手当)について、過去6年2ヶ月分の正社員との差額の支払いを求めた。

判決

請求1と同じ理由で棄却。

 請求2B(本件損害賠償請求),

請求

予備的に、不法行為に基づき,2Aと同額の損害賠償を求めた。

判決

期間の定めがあることによる差異か?

正社員と非正規社員とで適用される就業規則がことなることから生じた差異である。

→期間の定めがあることによる差異である。

 

不合理と認められるものか?

正社員と非正規社員の差異

① 職務の内容

  →差異はない。

② 職務内容変更の範囲・配置変更の範囲

  →広域移動の可能性に差異がある。

  →出向の予定の有無に差異がある。

  →会社の中核を担う人材として登用される可能性に差異がある。

住居手当について

正社員は広域移動の可能性があるので、住居費が多額となり得る。

→ 相違は不合理とは言えない。

皆勤手当について

皆勤手当は、業務を円滑に進めるため、運転手を一定数確保する目的で、皆勤を奨励するもの。

→職務の内容が同じである以上、確保の必要性は同じ。

→相違は不合理

無事故手当について

無事故手当は、優良ドライバーの育成・安全な輸送による顧客の信頼の獲得を目的とする。

→職務の内容が同じであれば、安全等の必要性は同じ。

→相違は不合理。

作業手当について

作業手当は、特定の作業を行った対価。

→職務内容変更の範囲・配置変更の範囲の差異によって、作業の金銭的評価が異なることにはならない。

→相違は不合理

給食手当について

給食手当は従業員の食事にかかる補助

→職務の内容が同じであれば、食事の必要性も同じ。

→相違は不合理

通勤手当について

通勤手当は通勤に要する交通費を補填するもの

→職務が同じである以上、交通費も同じ。

→相違は不合理。

 

元記事

通勤手当など正社員と待遇差「不合理」 最高裁が初判断
朝日新聞デジタル 岡本玄 2018年6月1日17時37分

 

判決(最判H30.6.1)

 

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2018年06月01日|ブログのカテゴリー:労働契約法, 労働法