まとめると
2012年大阪市が社団法人から土地を月額56万で借りた
借りた土地と市有地の上に城東区役所を建築 社団法人は区役所の建物に入居することになっていた
合意書には、賃料は不動産鑑定で算定するものの「地代に近似することが望ましい」との文言があったが、市は月額112万円を提示
社団法人は入居を拒み土地の明け渡しを求めている
市は入居と過去の賃料相当額の賠償を求めている
どんな契約?
記事だけから判断するのは無茶なのですが、おおむね3つの契約を締結することになっていたのではないでしょうか。
基本合意書(社団法人は土地をかすこと、市は建物の一部を貸すこと、賃料は地代に近似することが望ましいことなどを取り決める)
借地契約書(社団法人が市につき56万で土地を貸す)
借家契約書(市が社団法人に建物の一部を賃貸する 未締結)
借地契約を解除できるか
社団法人は、借地契約の錯誤無効、詐欺取消、債務不履行解除などを主張することになるでしょう。
しかし、借地契約自体には無効原因・取消原因や、市の債務不履行は認められないように思われます。
基本合意書の不履行を理由に、借地契約を解除できるか?
基本合意書に無効・取消原因があったり、債務不履行があるので、借地契約も効力を失うと主張できるでしょうか?
基本合意書に錯誤原因、取消原因は認められないと思われます。
基本合意書上で一定額で借家契約を締結する義務がありこれに市が違反しているのではないかは、検討される必要があります。
ただ、家賃額については「望ましい」と書かれているとのことですから、家賃は今後の交渉で決められることが予定されており、市が債務を履行していないとまではいえないかもしれません。
基本の合意書の不履行を理由に、(借地契約の解除)以外の主張はできるか?
家賃は不動産鑑定士の鑑定によるとされており、これは事前に試算は可能なはずです。
そして、賃料相場が2012~2019で倍に跳ね上がったというわけではないのですから、市は基本合意締結前に「地代に近似」させることが到底不可能であるとわかっていたのではないかと思われます。
そうだとすれば、賃料が地代の倍近くになることを説明する義務があったといえます。
この義務と相当因果関係のある損害(因果関係のある損害のなかで賠償させるのが相当と思われるもの)はどのようなものか?
ここは、具体的な事実を見ないとなんとも言えませんし、事実を見ても人によって意見の分かれるところだと思います。
、
借家契約を締結させることができるか?
基本合意書では、家賃の額については今後の交渉で決められることが予定されているとすれば、賃料112万円の借家契約締結を強制することまでは無理ではないでしょうか。
結局どうなる
結局、裁判所が家賃額について和解を推し進めることになるでしょう。
続報
元記事
<城東区役所>庁舎建て替え巡り訴訟合戦へ
2017年10月9日 11:12 (毎日新聞)【原田啓之】
大阪市城東区役所の新庁舎を巡り、土地の一部を所有する社団法人「城東鶴見工業会」(城東区)が近く、市に庁舎の撤去や約1400万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴することが分かった。工業会は市に土地を貸す代わりに、借地料とほぼ同額で新庁舎に入居する約束だったが、市が守らなかったと主張。一方、市も工業会を相手取り、入居の約束を果たすよう地裁に提訴する方針で、庁舎建て替えを巡る異例の訴訟合戦になる。
市は12年、工業会と月額56万円で借地契約を締結した。しかし、昨年提示した庁舎の賃料は月額112万円と2倍になり、契約には至らなかった。
