まとめると
東京都豊島区巣鴨。生活道路に接する民家から道路に松の枝が垂れ下がって通行の妨げになっていた。
近隣住民などとトラブルになった際、民家の家主が暴力を振るって、二度逮捕されている。
近隣住民が松の枝を切ったところ、民家の家主が竹40本を使ったバリケードを設置した。
以前のトラブル
はみ出た枝でケガ人続出も「切らん!」 「松の木トラブル」の家主、暴行で現行犯逮捕
バリケード設置
元記事によると、一時は軟化していたが、三角コーンやビールケースに竹を刺したバリケードが道路幅の半分近くを占める私有地部分に並べられていたとのこと。
どの部分を塞いでいたのでしょうか。
「道路幅の半分近く」というので、とりあえず通行はできるようになっているのでしょうか?
しかし、公図からは私道のクランク部分は全部家主の所有のようなので、全く通行できなくなっているのでしょうか。
類似の事案
私道にバリケードを設置した例として、堺市の事案があります。
竹木のはみ出し
隣地所有者の執りうる手段
民法 第二三三条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
→ 隣地所有者でないとできない。
→ 自ら切除することはできない。
妨害排除請求訴訟 → 授権決定 → 代替執行 という手順を踏む必要があります。
通行人の執りうる手段
位置指定道路やみなし道路の、
①通行が日常生活上不可欠であり、
②私道所有者が通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情がない場合は、
生活権・人格権に基づいて、妨害行為の排除や将来の妨害行為の禁止を求める権利が認められています(最判H9.12.18(民集51-10-4241))。
行政の執りうる手段
「空家等対策の推進に関する特別措置法」「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」に基づいて
調査 → 助言 → 指導 → 勧告 → 命令 → 代執行
という手順を踏んで、道路にはみ出している。竹木を剪定できるでしょう。
警察の執りうる手段
往来妨害罪や道路交通法違反の捜査の際に押収(差押え)が考えられます。
そして、捜査中に所有権を放棄させてる場合もありますし、刑事裁判の判決で没収することができそうです。
刑事訴訟法
第二一八条[令状による差押え・捜索・記録命令付捜索・検証・身体検査、通信回線接続記録の複写等]
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え…をすることができる。…。
第二二〇条[令状によらない差押え・捜索・検証]
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第百九十九条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第二百十条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。
二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること
刑法
第一九条(没収)
次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
バリケード
バリケードについては、通行人が執りうる手段・警察が執りうる手段が考えられます。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」は、管理不十分な建物を除去することを目的にしていますので、わざわざ通行を妨害するために特に設けたバリケードを排除することは規定されていません。
元記事
東京・巣鴨の迷惑家主 道路に飛び出す松の枝が切られた腹いせに竹のバリケード 2019/3/11 13:00 Jcastテレビウォッチ