国営放送になったら「政府の宣伝機関」になるのか?

まとめると

 受信料は不公平

① 12月4日に大法廷判決で、NHKから裁判を起こされない限り受信料を払わなくてもよくなったが、これは不公平

② 貧富の差があっても、受信料は同じという点でも不公平(逆進性)

 スクランブルをかけると、民放化する。

① スクランブルをかけて見る人から徴収するという方法をとると、経営を成り立たせるために、人々が見たがる番組を作るようにならざるを得ない。

② 教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、市場性や視聴率だけでは計ることのできない番組を放映できなくなりかねないが、これは政府が広報予算を用いて番組を提供する、ということで対応可能。

③ 「国際政治関係ニュース特集」などという視聴率の低そうな番組に巨額の取材費を投じることができなくなる。日本にとって必要な番組が放映できなくなる。

 税金でNHKを運営すると政府の宣伝機関になってしまうか?

 NHKを税金で運営するという方法もある。

税金投入反対論

NHKが政府の宣伝機関になってしまう恐れがある。

税金投入賛成論

①「世論誘導などの悪いこと」をしようと思えば、今の体制でもできるから、税金が投入されても事態は悪化しない。

② 政府を信用できる。

  例えば、国立大学は税金で運営されていますが、決して政府を礼賛する教育が行われているわけではない。

 

若干のコメント

1 受信料が不公平という点

 まったくその通り。

 

2 スクランブル化すると民放化するとの点

 なるほど、と思いました。

 今までは、NHKは番組構成をあまり変えない事を前提に、財源が破綻してしまうという点を心配する意見が多かったように思いますが、NHK側で対策を打つと考える方が現実的だと思います。

 実際、島桂次会長のときに番組構成が変更されたり、子会社で収益事業を行ったりし出したという話を目にすることがあります。

 しかし、せっかく民放化しても十分な財源を確保できるとは思われず、弊害が増えるだけのように思われます。

 

3 スクランブル化した場合、教育番組や福祉番組、古典芸能番組が放映されなくなるという点

 政府の広報予算で番組を提供することで解決されるのではないか、という点については、楽観視できないと思います。

 大阪府では、橋本知事の時代に、文楽やクラシックの交響楽団に対する補助金がカットが問題となったことがあります。

 また、受信料を文楽に費やすことが「無駄だ」という意見よりも、税金を文楽に費やすことが「無駄だ」と言う意見の方がが通りやすいという感じがします。

 

4 税金で運営するようになると、政府の宣伝機関となってしまわないか?という点

 以前、「戦争放棄を宣言する平和憲法下でのこれまでの実績を見る限り」心配する必要はないという平野教授の意見について、籾井会長の例を挙げて「それは楽観的すぎるのではないか?」というコメントをしたことがあります。

 

 塚崎教授は、これを逆にとって「今でも宣伝機関化することができるのだから、今より悪くならない。」と述べられています。

 

 産経新聞のコラムでは、最高裁判決がNHKについて視聴者ら「全体により支えられる事業体」であることから、「とりわけ真実公正な報道を貫く改革が問われている。 歴史番組で旧日本軍の行為をことさら悪く描き、原子力発電所の再稼働や沖縄の米軍基地問題をめぐる報道でもバランスを欠くなどの批判がある。公平公正を疑う視聴者の声に耳を傾けるべきだ。」と主張されています。

 

 このような主張がなされていることは、現在NHKは政府の宣伝機関にはなっていない(なりきっていない)ということを示しているように思えます。 

 NHKが政府の宣伝機関になっていない(なりきってない)のは、国営放送ではないので政府が手を出せないからなのか、手を出せるが政府が自制しているからなのか?

 このあたりの実態は分かりません。

 

 しかし、「今より悪くならない」という点は、「原発の死傷者より交通事故の死傷者の方が多い。」とか、「富裕層や企業の減税を行えば、その利得は巡り巡って貧困層にも恩恵をもたらす(トリクルダウン)」という類いのものですが、この手の思考実験は、いざ事件が起きてみると現実にそぐわないものであることが多いように思われます。

 

 塚崎教授の真意は、「政府を信頼することができる」という方にあります。そして、信頼することができる実例として、国立大学で政府を礼参する教育が行われていないことを挙げています。

 

 しかし、京大で原発に批判的な「熊取6人衆」の小出裕章氏は、「同僚から異端視されることはない。」「嫌がらせを受けたと感じたことはない。」けれども「国の方針に楯突くのは好ましくないという事情はある。」「研究費をもらおうと文科省に申請したことがあるけど、審査が全く通らない。」と述べています。

 「他のメンバー」も、「実験装置設置の設置の認可を科学技術庁に折衝したが、反原発訴訟に関与していることが分かったとたんに姿勢を受け付けてもらえなかった。」と述べています。

 また、「熊取6人衆」のほとんどがが定年退職まで助教(助手)のままで「誰一人教授になっていないという事実が、学内での微妙な立場を物語っている。」と言われています。

 

元記事

NHKの費用は税金で賄おう 国営放送になったら「政府の宣伝機関」になるのか?
2017.12.11 06:00  久留米大学商学部 塚崎公義教授

 

【主張】受信料「合憲」 公共放送の役割胸に刻め

産経ニュース 2017.12.7 05:03

 

迫害され続けた京都大学の原発研究者(熊取6人組)たち 危険性を訴えたら、監視・尾行された 週刊現代 2011.4.30

 

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2017年12月12日|ブログのカテゴリー:放送法, 行政法