はみ出た枝でケガ人続出も「切らん!」 「松の木トラブル」の家主、暴行で現行犯逮捕

まとめると 

 東京豊島区で宅地から道路に松の木が垂れ下がって通行の妨げになっていた。

 約7年前に周辺住民とトラブルになった際、松の木の所有者は撮影者の女性に暴行を加えて現行犯逮捕。

 平成30年4月1日にも、対側のアパートのガス点検に来た業者に殴りかかったとして暴行容疑で現行犯逮捕。

 4月1日に豊島区の適正管理条例が改正され、行政代執行により伐採できるようになった。

 

 

堺の事件

堺でもよく似た事件がありました。

   道路を「私有地」と主張 “通行トラブル男”を逮捕

 

道の性質

 記事では、次のような記載があり、松の木が垂れ下がっている土地は、私道で、建築基準法上の位置指定道路のようです。

 

 「所有者の男性は『通りの一部は道路ではなく宅地』と主張。周辺住民と土地の境について争っていた。」

 「豊島区は…宅地部分であっても建築基準法では道路ということになる」と話した。」

公図

① 公図を見ると、次のような感じで、「松の木のある土地」から「私道②」に松の木が垂れ下がっているようです。

③ 松の木のある土地と私道②は、同一人の所有のようです。
④ 松の木のある土地と私道②の登記簿上の地目は「宅地」とされています。

 

 土地各筆の形は乱れており、しかも上記の青線のところで別の公図になっているので、公図だけから、松の木のある土地や私道②がどのような形状・大きさで、現場で各土地の位置や範囲を確定するのは無理のようです。

 

 詳細は分かりませんが、松の木のある土地の上にある建物を建築するときか、私道①②③沿いの建物建築の際に、私道②について道路の位置指定をうけた可能性が高いように思われます(建築基準法42)。

 登記の地目は宅地のままですが、これは地目をを道路にして非課税にできたのにしていなかっただけのように思われます。

 

 そうだとすると、私道②は宅地ではなく建築基準法上の道路で、かつ、これを廃止することは許されません(建築基準法45)。

 

写真

私道①から私道②をみると、このような感じです。

 

民事では何ができるか?

通行人は、何ができるか?

 

 位置指定道路・みなし道路の通行は、個人の権利ではないので、通行妨害されても、建築基準法に基づいては、妨害排除を請求できないと理解されています。

 しかし、位置指定道路やみなし道路の、
①通行が日常生活上不可欠であり、
②私道所有者が通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情がない場合は、
生活権・人格権に基づいて、妨害行為の排除将来の妨害行為の禁止を求める権利が認められています(最判H9.12.18(民集51-10-4241))。

 

刑事では何ができるか?

 正当防衛・緊急避難

 私道であっても通行するのは違法ではないので、通行人に暴力を振るった場合、正当防衛・緊急避難で無罪になることはないでしょう。

 

 往来妨害罪・道路交通法違反

さらに、松の木を垂れ下がらせていることは、往来妨害罪・道路交通法違反が問題になります。

刑法

第一二四条 ① 陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞そくして往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 

道路交通法

第七六条  何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
→三月以下の懲役又は五万円以下の罰金(百十九条第一項第十二号の四)

 

行政法ではどうなるか

近時、空き家の放置が社会問題となったことから、これに対応する法律、条例が各地で制定されており、この件ではこれが有効な対策になるかもしれません。

 空家等対策の推進に関する特別措置法

第1条

(背景)

 適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、

(目的)

① 地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、

② あわせて空家等の活用を促進するため、

(措置)

空家等に関する施策に関し、

①国による基本指針の策定、

②市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成

③その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、

(効果)

空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進地域の振興に寄与することを目的とする。

 豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例

適正な維持管理が行われていない状態

第2条(10)適正な維持管理が行われていない状態

管理不全な状態又は危険な状態をいう。

 

管理不全な状態

第2条(8) 管理不全な状態

建物等が次に掲げるいずれかの状態であって、規則で定める基準 を満たすものをいう。

ア 建築物の部材等が落下し、飛散するおそれのある状態

イ 建築物の老朽化又は台風等の自然災害により、倒壊又は損傷するおそれのある状 態

ウ 建築物の外壁、窓等が剥落し、建築物の外部から内部が見通せる状態

竹木その他の土地の定着物が、道路との境界線を越え通行の妨げになっている状態

オ 物が大量に堆積されている状態

カ ねずみ又は衛生害虫等(以下「ねずみ等」という。)が大量に発生している状態

キ アからカまでに掲げるもののほか、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態として区長が認めたもの

 

(調査)

第 5 条 区長は、建物等が適正な維持管理が行われていない状態にある疑いがあると認められるとき…は、当該建物等の所有者等に対して質問若しくは実態調査をし、又は資料の提供を求めることができる。

2 区長は、前項の規定による実態調査を行う場合においては、区の職員に当該建物等のうち敷地(所有者等に同意を得た場合は建築物を含む。)及び空地に立ち入らせることができる。

 

(助言)

第 6 条 区長は、建物等が適正な維持管理が行われていない状態であると認めるときは、 当該建物等の所有者等に対してこれを改善するために必要な措置について助言すること ができる。


(指導及び勧告)

第 7 条 区長は、建物等が適正な維持管理が行われていない状態であると認めるときは、 所有者等に対してこれを解消するための措置又は対策をとるべきことを指導することが できる。

2 区長は、前項の指導を行ったにもかかわらず、その指導に従わないときは、当該所有者 等に対し期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

 

危険な状態

第2条

(9)危険な状態建物等が次に掲げるいずれかの状態であって、規則で定める基準を満たすものをいう。
ア 前号ア、イ、又は、エ(竹木その他の土地の定着物が、道路との境界線を越え通行の妨げになっている状態)に掲げる状態で、区民及び通行人の生命、身体又は財産に被害を与えるおそれのある状態

イ 前号ウ又はオに掲げる状態で、可燃物の投棄等による火災又は不特定の者の出入りによる犯罪を誘発するおそれのある状態

ウ 前号カに掲げる状態で、衛生上有害な事実が地域住民の生活の保全を図る上で重大な障害を発生させている状態

(命令)

第 8 条 区長は、建物等が危険な状態であると認めるときは、当該所有者等に対し、履行期 限を定めて改善のための必要な措置を講ずるよう命ずることができる。

 

(公表)

第 9 条 区長は、第 7 条第 2 項の規定による勧告を行ったにもかかわらず、当該所有者等 が正当な理由なく勧告に従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 勧告に従わない者の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地及び名称 並びに代表者の氏名)

(2) 勧告の対象である建物等の所在地

(3) 勧告の内容

(4) 前 3 号に掲げるもののほか区長が必要と認める事項 2 区長は、前項の規定により公表するときは、当該公表に係る所有者等に意見を述べる機 会を与えなければならない。

(代執行)

第 9 条の 2

区長は、

 

建物等に関して、8条1項の(危険な状態の改善のための措置をじた場合において、

 

その措 置を命ぜられた者が

その措置を履行しないとき

履行しても十分でないとき

又は履行しても期限までに完了する見込みがないとき

であって、

 

他の手段によってその履行を確保することが困難であり、

かつ、その不履行を放置すること著しく公益に反すると認められるときは、

 

行政代執行法(…)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者にこれをさせることができる。

 

元記事

はみ出た枝でケガ人続出も「切らん!」 「松の木トラブル」の家主、暴行で現行犯逮捕 羽鳥慎一モーニングショー 2018/4/ 2 11:24

 

住民困惑!深刻トラブルが 松の枝が道に…一体何が!?
2015年12月10日放送 18:46 - 18:59 TBSNスタ 特集!

 

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2018年04月03日|ブログのカテゴリー:建築基準法, 往来妨害罪, 空家等対策法, 行政法, 道路交通法, 道路法