児童福祉法など改正法が成立「一時保護」の際「司法審査」導入

虐待予防体制を強化へ 児童福祉法改正案の概要判明

 厚生労働省が今国会に提出する児童福祉法等改正案の概要が1月20日までに分かった。児童虐待の予防体制強化に向け、子育て世帯に対する包括的な支援体制の強化などが柱。里親を支援するフォスタリング機関も法律に位置付け、設置基準もつくる。施行は一部を除いて2024年4月1日としている。

 全国の児童相談所が対応した虐待相談対応件数は毎年増加を続けており、20年度は全国で20万5029件に上り、過去最高を更新した。このため、厚労省は子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化しているとして、児童虐待が起こる前段階から予防する体制を強化する考えだ。

 具体的には、市町村に対しては、母子保健分野の子育て世代包括支援センターと、児童福祉分野の子ども家庭総合支援拠点の一体化を努力義務とする。支援の必要性が高い場合は、個別に支援計画も作る。

 また、児相による支援の質も上げる。

 例えば、里親の開拓から研修まで行う「フォスタリング機関」については、児童福祉法が定める児童福祉施設として位置付ける。第二種社会福祉事業とし、人員や設備などを定めた最低基準も設定。これまで補助事業だったが義務的経費となるとみられ、安定した運営ができるようにする。

 さらに、児童養護施設出身者の自立支援を強化する方針だ。

 これまで退所した子どもを対象に、22歳まで居住費や生活費を支給していたが、年齢制限を撤廃。措置解除後も通所や訪問などで自立するまで支える体制をつくる。

 このほか、都道府県が子どもの意見を聞くなど権利擁護に向けた環境整備を行うことや、一時保護開始時の判断で司法審査を導入する。また、子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)を新たに児童福祉司の任用要件に追加することや、子どもにわいせつ行為をした保育士の資格管理を厳格化することも盛り込んだ。


児童福祉法改正案が審議入り 後藤厚労相「児相強化取り組む」

 児童虐待対策強化を盛り込んだ児童福祉法などの改正案は14日、衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。

 児童相談所(児相)が虐待を受けた子どもを親から引き離す一時保護について、裁判官が必要性を判断する「司法審査」を導入するのが柱。施行時期は、司法審査の導入など一部を除き2024年4月を予定している。

 後藤茂之厚生労働相は、20年度に全国の児相が対応した虐待相談件数が20万件を超えたことを踏まえ、「児相の質、量双方の体制強化に取り組む」と述べ、改正案の意義を強調した。立憲民主党の山田勝彦氏への答弁。

 

児童福祉法改正案、衆院通過 虐待保護に裁判官審査

 虐待を受けた子どもを親から引き離す一時保護の要否を裁判官が審査する制度を導入する児童福祉法改正案が17日、衆院本会議で全会一致により可決され、衆院を通過した。児童養護施設や里親家庭で育つ若者の自立支援に関し、原則18歳(最長22歳)までの年齢上限も撤廃する。

 一時保護の開始時、親権者が同意した場合を除き、司法審査として児童相談所が裁判所に「一時保護状」を請求する。請求時期は保護開始前か、開始から7日以内とし、保護状を出すかを裁判官が判断する。

 施設などの保護を離れた「ケアリーバー」は施設や自治体が自立可能と判断した時期まで支援を継続できるようにする。

 

児童福祉法など改正法が成立「一時保護」の際「司法審査」導入

児童相談所が虐待を受けた子どもを保護者から引き離す「一時保護」の際に、裁判所が必要性を判断する「司法審査」の導入などを盛り込んだ児童福祉法などの改正法が8日の参議院で全会一致で可決・成立しました。

成立した児童福祉法などの改正法では子育て世帯に対する包括的な相談・支援に当たる体制強化を図るため、市区町村に対し「こども家庭センター」を設置するよう努力義務を課しています。

また児童相談所が虐待を受けた子どもなどを保護者から引き離す「一時保護」の際に、親の同意がない場合には裁判所が必要性を判断する「司法審査」を導入するとしています。

さらに虐待などに対応する児童福祉司を自治体が任用する際の要件として、新たに創設される認定資格などを念頭に十分な知識や技術を求めるとしています。

このほか児童養護施設などで暮らす子どもや若者に対する自立支援について、原則18歳、最長でも22歳までとしてきた年齢制限を撤廃することや、子どもへのわいせつ行為などを理由に登録を取り消された保育士の再登録を厳格化することも盛り込んでいます。

改正法は8日の参議院本会議で採決が行われた結果、全会一致で可決・成立しました。

この法律は一部を除いて再来年4月に施行されます。
松野官房長官「安定した生活 送ることが可能に」
松野官房長官は午後の記者会見で「児童養護施設を退所した方などに対し、住居の提供や相談支援などを行う事業について対象者の年齢要件が弾力化されることになり、退所したあとも継続して必要な支援を受けられ、安定した生活を送ることが可能になる。法律の施行に向け今後、厚生労働省で当事者の意見も伺いながら実施体制の充実などの検討を行っていく」と述べました。
今回の改正の経緯
今回の児童福祉法などの改正は、増加する児童虐待に対し、子どもを保護する取り組みや子育て家庭への支援策を強化することが目的です。

厚生労働省によりますと、令和2年度に全国の児童相談所が対応した18歳未満の子どもに対する虐待の件数は、過去最多のおよそ20万5000件に上りました。

新たに導入されることが決まった「司法審査」は、児童相談所が親からの反発をおそれて一時保護をためらうケースも少なくないことから、裁判所が必要性を判断することで速やかな保護につなげるとともに、親の理解もより得やすくしようと改正案に盛り込まれました。

また、新たな資格制度は、児童虐待などに対応する児童福祉司のうち勤務年数が3年に満たない人が去年4月の時点で半数を占めるなど、経験の浅さが課題となっていることから創設されることになりました。

取得にあたって、100時間程度の研修を義務づけることで資質や専門性を高めるとともに、自治体が任用する際の要件とすることで定着にもつなげようというねらいがあります。

このほか、原則18歳までとなっていた自立支援の年齢制限は、施設を退所したあとに生活費や学費を工面できなかったり、相談相手がいなくて孤立したりする人が多く、支援の継続が必要だという指摘が専門家などから出ていたことから撤廃されることになりました。

本人の意向などを踏まえて施設での生活を継続できるほか、福祉制度を利用してもらうための調整などを行う拠点を都道府県ごとに設置して、住まいの確保や就労などの相談に応じることになっています。

 

元記事

2022年01月31日 福祉新聞編集部

2022年4/14(木) 16:24 時事通信

5/17(火) 15:20配信 共同通信

2022年6月8日 18時13分 NHKnewsweb

 

 

   

 

 

 

 

2022年06月09日|公認心理師:20 社会福祉分野, 23 児童福祉