まとめると
さいたま地裁は平成30年7月27日、覚せい剤取締法違反(所持・使用)の罪に問われた埼玉県春日部市の男性会社員(45)に無罪(求刑・懲役4年)の判決を言い渡した。
警察官は職務質問で男性に覚醒剤事件の前歴があることを把握。男性がトイレに行きたいと訴えたが立ちふさがるなどして所持品検査を求めた。このため男性はトイレではない場所で排便してしまい、その後、持っていた覚醒剤を提出した。
地裁は「所持品検査の必要性はさほど高くなかった」とし、違法に収集された証拠だとして証拠能力を否定した。
職務質問
職務質問については、以前触れたことがあります。
<争点>
職務質問について
① 何らかの犯罪を犯しもしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当の理由があったかどうか?
② 強制捜査である身柄の拘束にあたる程度の自由の制限があったかどうか?
職務質問に際して行われる所持品検査
職務質問に際して行われる所持品検査についても、以前触れたことがあります。
<争点>
所持品検査について
① 強制に渡らない、捜索に至らない程度の行為であるか?
② 所持品検査について、必要性、緊急性、具体的状況の下で相当と認められる限度であるか?
本件判決
職務質問に際して行われる所持品検査ついて、次のように判断したように思われます。
①必要性があるか?
→ 前歴以外に覚醒剤所持を疑う事情がない。
②緊急性があるか?
→ これは認められるような気がします。
③具体的状況の下で相当と認められる限度であるか?
→ 公衆の面前で排便させることも辞さない行為は相当ではない。
元記事
毎日新聞2018年7月27日 20時43分(最終更新 7月27日 20時58分)【鈴木拓也】