まとめると
田原総一朗氏が平成28年8月末に安倍総理と面会
総理は、集団的自衛権行使を可能とする憲法改正は「必要性が全くなくなったと語った。
理由は、「アメリカ側の要請がなくなったためだ」と説明。
第3次アーミテージ・ナイ報告書
平成24(2012)年8月の第 3 次アーミテージ・ナイ報告書には、
「3.11は外部の脅威に対する防衛の問題ではなかった為、自衛隊と米軍が集団的自衛の禁止に注意を払うことなく対応した」
「日本と米国は、他のいくつかの国々と協力してエデン湾での海賊行為と戦っている。」「しかし皮肉なことに、日本の利害の保護を必要とする最も深刻な条件の下で、我々の軍隊は日本の集団的防衛を法的に禁じられている。」
「政策の変更は、統一した指揮ではなく、軍事的により積極的な日本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきである。」
との記載がある。
安保法制懇
平成25(2013)年2月7日、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)が設置された。
平成26(2014)年5月15日、安保法制懇が報告書で下記のように報告した。
「憲法第9条1項で、自衛のための武力の行使は禁じられておらず、国際法上合法な活動への憲法上の制約はない。同条第2項は、自衛やいわゆる国際貢献のための実力の保持は禁止されていない。『必要最小限度』の中に個別的自衛権は含まれるが集団的自衛権は含まれないとしてきた政府の憲法解釈は、「必要最小限度」について抽象的な法理だけで形式的に線を引こうとした点で適当ではなく、『必要最小限度』の中に集団的自衛権の行使も含まれると解すべきである。」
「必要最小限度の範囲の自衛権の行使には個別的自衛権に加えて集団的自衛権の行使が認められるという判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は当たらない。」
安倍首相の記者会見
(たしか)安保法制懇の報告のあった日の夕方に、安倍首相が記者会見をして、
「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方です。」
「与党協議の結果に基づき、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、この点を含めて改正すべき法制の基本的方向を…閣議決定してまいります。」
閣議決定
平成26(2014)年7月1日、下記のような閣議決定があった。
「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容される」
平和安全法制整備法案要綱(戦争法)
平成27(2015)年 7月16日衆議院通過、平成27年9月19日 成立。
このうち、第五 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の一部改正が集団的自衛権に関するものです。
従来、武力行使・防衛出動は、武力攻撃事態においてのみ認められていたが、存立危機事態においてもを認められることとなりました。
武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律
武力攻撃 = 我が国に対する外部からの武力攻撃
武力攻撃事態 = 武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいう。
存立危機事態 = 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態
おしつけ改憲?
第3次アーミテージ・ナイ報告書や、その後経緯から考えて、田原氏のいうとおり、平成25~27年に集団的自衛権を容認する法改正がなされたのはアメリカの要請に応じるためだったと思われます。
また、アメリカからの要請が止まらなければ改憲に踏み込んだのではないかと思われます。
日本国憲法はアメリカから押し付けられた憲法だとよく言われますが、その論理に従えば、集団的自衛権を容認する法改正や改憲(未遂)は、おしつけ法改正・おしつけ改憲(未遂)といえるのではないでしょうか。
これに対しては、与党が進んで法改正をしたのであるから押し付けではないという反論があると思われますが、「おしつけ憲法」論に対する反論と全く同じことになります。
つまり、憲法と集団的自衛権は、両者とも自主法であるか、両者とも押し付けということになりそうです。
元記事
時事ドットコムニュース (2017/10/13-18:24)
ジャーナリストの田原総一朗氏は13日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法改正の必要性について、安倍晋三首相が昨年、「全くなくなった」と語っていたことを明らかにした。首相は、米国が従来求めていた集団的自衛権の行使について、安全保障関連法の成立で可能となったことで、「米側からの要請がなくなったためだ」と説明したという。
田原氏が首相と面会した際の発言として紹介した。面会時期は昨年8月末とみられる。一方、首相は次の目標として、「日本の憲法学者の7割近くが『自衛隊は憲法違反だ』と言っている。だから憲法に自衛隊の存在を明記したい」とも話したという。