NHK受信料訴訟、25日に最高裁大法廷で弁論

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まとめると

NHKの受信料問題で、最高裁は10月25日に弁論を開いた。

受信料契約締結義務を定める放送法64条1項が憲法の契約自由に違反するかどうかが主に争われている。

1審・控訴審は、合憲とした。

年内に判決を出す見込み。

いままでの記事

このブログでは、今まで何度も受信料問題を取り上げています。

  NHK 受信料を支払う義務

  NHK スマホの受信料

  NHK レオパレス21入居者

  NHK 受信料問題 大法廷に回付

  ワンセグ携帯は「受信設備の設置」? 司法の判断は

放送法64条1項の立法の経緯

受信料問題を取り上げたきっかけは、たまたま平野教授の判例評釈を読んで、興味深かったので、感想を書いてみた、というだけでした。

その直後に受信料がらみの裁判の報道が続いたのでいきがかり上コメントをしていたら、NHKのことばかり書くようになってしまいました。

きっかけになった平野教授の判例評釈は最初の記事で要約しましたが、あえて要約をしなかった部分に、放送法64条1項が、どうして中途半端な規定となっているのかについての興味深い論述がありました。

1 戦前

  ラジオ放送は(社)日本放送協会(旧NHK)が独占。

  放送内容は政府が事前検閲。

  ラジオ受信機の設置は許可制。違反には罰則。

  受信契約の義務づけはなかった。

  しかしラジオ受信機設置許可を受けるためには、旧NHKとの契約書を提示する必要があった。そのため、事実上、受信契約は義務。

2 昭和23年 放送法案

戦後、NHKを国から独立した機関とした。そのため財源をどうするかが問題となり、

受信機設置者は「受信料を支払わねばならない。」(6条1項)

NHKは受信者から「受信料を徴収することができる。」(39条1項本文)

という法案が提出された。

3 昭和24年3月 放送法案

受信機設置者は「NHKとのその放送の受信についての契約を締結したものとみなす」(39条1項本文)

4 昭和24年10月 放送法案

受信機設置者は「NHKとのとその放送の受信についての契約をしなければならない(32条1項本文)

5 昭和31年 臨時放送審議会答申

「当然に受信料の債務を法律上負担するということは、なかなか難しいだろうと思」うことから、いろいろ議論していくうちに、現在の形になった。

「批判の余地があることを認めつつ、さしあたりこれにかわるべき適当な制度もない」

6 昭和39年 郵政相の諮問機関審議会

受信料を「国家機関ではない独特の法人として設けられたNHKに徴収権が認められたところの、その維持運営のための『受信料』という名の特殊な負担金と解すべき」と定義した。

つまり、受信料は、番組の対価ではなく、公共放送を支える「特殊な負担金」であると答申した。

 

どうして放送法64条1項は中途半端か

もともとは、受信機設置者に支払を義務づけ、NHKに徴収権を与えようとしたようです。

 

これは、国や自治体と同じ権限を与えるものです。

国や自治体などは、税金や負担金・使用料を、法律・条例などで定めることができます。

これら税金など(歳入)を調定して、国民・住民に納入を通知することで国民・住民は納付する義務を負うことになります。

そして、国民・住民が納付しない場合、税金や一部の使用料については、裁判手続きによらずに「滞納処分」により強制徴収することができます。

 

しかし、国から独立した立場であるべきNHKに、そのような権限をあたえることは適切でないと考えられていたようです。

 

そこで、受信料はあくまで民間と同じ債権・債務である。

債権債務である以上契約がなければ発生しない。

しかし、契約をしなければ受信料債権・債務が発生しないとすると、NHKの財源が不安定になる。

 

そこで、「契約しなければならない。」という中途半端な規定をするだけで、罰則も契約強制措置も規定しないことにより形式上はNHKに強力な権限を与えることなく、実質的には強制的に財源を確保できる手段を与えた、というもののようです。

 

合憲か 違憲か

 

郵政相の答申は実質的な側面を捉えて、特殊な「負担金」であるとし、裁判例は形式的な側面をとらえて締結義務を伴う特殊な「契約」であるとしたといえるでしょう。

 

そして、「契約」と捉える以上、契約締結義務は、憲法上は自由をである契約締結の自由(財産権 憲法29条2項 包括的自由権 憲法13条)を制限するものではないか?そのような制限は公共の福祉に反し違憲か、公共の福祉に適合し合憲か、が問題となります。

 

私は、NHKのような「真面目」なマスメディアは必要であると考えます。


以前はテレビを買った以上、NHKを見ることを主目的としている場合が多く、かつ、NHKを視聴できてしまうことから、受信機設置者全員に契約義務を認めることに合理性は認められていたと思います。

 

しかし、現在では民放をみることを主目的としている場合も多いと思われますし、スクランブルをかけることによりNHKを視聴できなくすることができるようになったので、受信機設置者全員に契約義務を認めることには合理性は認められないと思います。

 

その意味で、法律問題としては違憲ということになると考えます。

 

NHKのようなメディアは非常に価値があると思うのですが、みんながNHKを見れるようにしておかないといけない、という時代ではなくなるのかもしれません。 

 

元記事

NHK受信料訴訟、25日に最高裁大法廷で弁論
朝日新聞デジタル 岡本玄 滝沢文那 2017年10月24日07時10分

 

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2017年10月25日|ブログのカテゴリー:放送法, 行政法