まとめると
NHKの受信料については、平成27年12月6日に大法廷判決がありました。
しかし、まだ問題が残っており、現在、滞納が続いたまま20年間経過すると、受信料契約自体が時効消滅するのではないかが最高裁で争われています。
定期金債権
定期金債権とは、一定の不定の期間にわたって、金銭その他の代替物を給付させることを目的とする債権をいいます。
具体例
終身年金、一定の有期年金、恩給、扶養料債権、賃料債権、永小作料債権、地上権の地代債権、利息債権
否定例
一定の債権額を数回に分割して支払うべきものとする場合(分割払債権 割賦払債権)は、定期金債権に含まれない(大判M40.6.13民録13-643、大判S10.2.21新聞3814-17)
基本権 支分権
支分権=定期ごとに一定の給付を請求しうる債権
基本権=支分権を生み出していく基礎となる包括的な債権
定期金債権の時効
民法
第168条 (定期金債権の消滅時効)←基本権
① 定期金の債権は、第一回の弁済期から二十年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から十年間行使しないときも、同様とする。
② 略
第169条(定期給付債権の短期消滅時効)←支分権
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
定期金債権(基本権)には、すべて168条が適用されるか?
① 年金
終身定期金(民法689~)には適用される。
他の年金は、それぞれの法律や約款で時効が定められている。
② 扶養料債権
一定の親族関係に基づいて法律上当然に生じるもの(民法877)は、その親族関係が存在するあいだは基本権としての扶養料債権のみの時効を認める余地がない(川島p523)
③ 永小作料債権・賃料債権
永小作料債権・賃借料債権は、本質上は定期金債権であるが、それぞれ永小作権・賃貸借の一部をなすものであるから、独立して時効にかからせるべきではない。いいかえれば、永小作料や賃料を支払わなくてもよい永小作権・賃貸借は認められるべきではないから、168条は適用されない(平井注釈民法5p326)。
④ 地上権の地代債権
地上権における地代は必ずしも地上権の内容ではない(民265)から、地代債権には168条は適用される(平井注釈民法5p326)
⑤ 利息債権
主たる債権と分離した存在を有せず、主たる債権の存在する限り存在するものであるから、168条の適用はない(我妻p489)
受信料債権(支分権)は定期給付債権か?
定期金給付債権である(最判H26.9.5判時2240-60)
受信料債権(基本権)には168条の適用があるか?
大阪高裁 平成26年5月30日判決
受信料に民法168条の適用がないとする合理的理由は見当たらず、「長期間にわたって定期金債権が行使されない場合には、権利者の懈怠は明らか」などとして、NHKの受信料も対象になると述べている(ただし、定期金債権について直接争った裁判ではない)。
大阪高裁 平成29年9月8日判決?
受信料は(民法168条の)対象外とする判断が下された?
元記事
NHK受信料、滞納20年で一切不要に? 未だに残る「時効問題」、最高裁で係争中 弁護士ドットコムニュース
【酷過ぎるよ NHK その227】NHK受信料 は5年で一部 10年で 全部時効